中国人権問題に対する日本共産党の態度についての質問 

                        2008年8月20日                        

北京オリンピックが華やかに開催され、まもなく閉幕を迎えようとしていますが、オリンピックを機に、中国の人権問題がクローズアップされています。

 オリンピックの開幕前の4月28日朝日新聞は「五輪の囚人」という中国人権問題を扱った特集記事を組みました。内容は人権を訴えた活動家が「国家転覆扇動罪」により投獄されたというもので、生々しい弾圧、拷問の実態を書いていました。中国の著名人権活動家である楊春林氏は拘置所で何日間もベットに手足を縛られたまま食事や排泄を強いられたと記事は書いています。人権活動家を支援する中国の弁護士も拉致、投獄されていることも記事は詳細に書いています。

 オリンピック開幕後の8月15日の朝日新聞は、「解放の裏 報道に鎖」というタイトルで中国当局が報道規制している実態を暴いています。記事によると、中国政府関係者は「国を挙げてのイベントを成功させるために、報道の自由が犠牲になるのは当然だ」と言い切っているそうです。

 朝日に限らず、世界中のマスコミが中国の人権問題に注目して、オリンピック報道と平行して報道しています。もはや、中国の人権問題がオリンピック閉幕後にクローズアップされるのは避けられない状況であります。

 中国で人権抑圧の実態があるのは、否定できないものです。

 そもそも、「国家転覆扇動罪」なるものが中国にはあり、これにより国家を批判するものを次々と逮捕投獄し、さらにこれに加担する活動家も捕らえ、弁護士さえも弾圧しているのです。これは、まるで日本の「治安維持法」と同じではありませんか。 

 中国の人権問題はオリンピックの聖火リレーの妨害から際だって浮上しました。そして中心的にはチベット問題です。

このチベット問題に際し、日本共産党がとった態度は、4月19日の赤旗報道によると、志位委員長が中国楊外相と会談した内容は、

●ダライ・ラマ側の代表との対話による平和的解決を要請した

●中国政府は、ダライ・ラマ側との対話の問題について、ダライ・ラマ側がその障害となる問題点を持っていると批判していますが、そうした問題点も含めて対話のテーブルにのせて話し合うことが重要というものでした。 

4月13日の赤旗報道には

チベット問題の欧州議会決議非難

中国外務省


 【北京=山田俊英】中国外務省の姜瑜(きょうゆ)報道官は十一日、談話を発表し、チベット問題で欧州議会が採択した決議を非難しました。

 姜報道官は「決議はチベットの歴史と現実をわい曲し、中国の内政に粗暴に干渉し、ダライによる分裂の主張を公然と支持し、ラサで起きた暴力犯罪の白黒を逆さまにしている」と批判。「中国政府を道理なく非難し、チベット問題を北京オリンピックと結びつけ、中国人民の感情を著しく傷つけた」と述べ、「強い憤り」を表明しました。

記事全文を載せました。これは中国共産党の機関誌ではないかと目を疑う内容です。

欧州議会の決議の内容は詳細な部分もあり、仮に細かい事実認定に誤りがあったとしても、決議の主たる内容は中国の人権抑圧を非難する内容であります。そのため、棄権も反対もなく全会一致で決議されたのです。赤旗は、決議の中身には全く触れず、中国外務省の言い分のみを掲載したものです。 

 

日本共産党のHP内を「国家転覆扇動罪」をキーワードに検索したところ、

国家政権転覆扇動罪 に一致するページは見つかりませんでした。
と出ました。

果たして我が党は、戦前の我が党の同志が熾烈な弾圧や拷問を受け命さえ奪った「治安維持法」と全く同等同質である中国の「国家転覆扇動罪」について、何ら言及していないのでしょうか。中国の人権活動家は、かつて我が党の先輩が受けたような弾圧を、今まさに受け、投獄され拷問のような日々を強いられているのです。その元になっているのが国家転覆扇動罪」です。他国とはいえ、このような悪法を見て見ぬふりをしている日本共産党の姿を、もし今話題の小林多喜二が見たならば、なんと言うでしょうか。憤りを越え嘆き悲しむことでしょう。 

いったいなぜ、我が党は中国の人権問題について厳しい態度をとらないのか。

ソビエトの崩壊には「人権抑圧型の社会主義」と、崩壊を「双手を挙げて歓迎」した我が党が、中国の人権抑圧に対しては、過去はおろか現代に生きる民主的活動家を裏切るような態度をとっているのか? 不思議でなりませんでしたが、答えは5中総にありました。もっと調べれば他にもあると思いますが、とりあえず5中総から、 

(3)アジア外交について――党の外交論の発展

 つぎにアジア外交についてのべます。

「日本共産党の動向が、日本外交に影響を与えるようになりはじめた」

 第二十一回党大会では、アジア外交を重視する方針を決定しました。この提起をうけて、この間、党のアジア外交の新たな展開がはかられてきました。一昨年の日本共産党と中国共産党との関係正常化と首脳会談、昨年九月の東南アジア諸国への訪問、昨年一月と十一月の国会での対北朝鮮外交にかんする不破提言と十二月の政党訪問団へのわが党代表の参加などが、その内容であります。

 これらのわが党のアジア外交の展開をみて、ある外務省関係者が、こういう感想をのべていたそうです。「日中両共産党の関係正常化と不破さんの中国訪問を契機として、日本共産党の動向が現実の日本外交に影響を与えるようになりはじめた」。そういう注目をしているという感想でした。

 わが党の外交活動がなぜそういう力をもったか。それはなによりも、わが党のアジア外交論が、アジアで起こっている力強い流れ――紛争の話し合い解決、非同盟、自主・自立、非核兵器などと大きく合致したものであったことがあげられます。またそういう客観的条件を正確にとらえ、党として果敢に外交活動を具体化し、実践してきたことがあげられると思います。

 

外務省関係者まで登場させ、中国共産党との関係を自画自賛しています。

我が党の演説会に参加すると、党の幹部は異様なまでに「野党外交」の成果に時間を割いていました。5中総から見ると、中国共産党との関係正常化がその後の我が党の外交の基点になったことは間違いありません。

「野党外交」を重要な成果として強調している中央委員会が、その基点となっている中国共産党との関係を悪化させてはならないため、中国での人権抑圧には口をつぐんでいる。そう見るしかないのです。 

中国の経済力は全世界に影響を及ぼすほど巨大なものになっており、アメリカをはじめ資本主義国の多くは、中国との関係悪化を恐れ、人権問題を国際政治の表舞台に出すことをためらっています。フランスのサルコジ大統領がいい例です。5中総で登場させている外務省関係者のコメントもそのような背景があることが、私には当然のごとく分かります。

中国は、経済力の強大な発展を背景に、自国の人権問題に口を出させないような圧力を示し、オリンピックを機に世界に中国を認めさせようとしています。これはすなわち、中国の人権問題には触れるなということです。

我が党の中国に対する態度は、根本は違うものであっても結局、経済関係の強化を狙う資本主義国家と同じものになっており、故に外務省関係者が評価したのです。くしくも財界戦略と合致した中国への態度であり、おそらく、中国との関係悪化を恐れる外務省や中国の巨大市場に進出している日本の資本家連中は、日本共産党が中国の人権問題に口をつぐんでいることに胸をなで下ろしているのではないでしょうか。 

 しかしながら、民主主義を望む世界中の勢力は、中国の人権抑圧を許しません。日本ですら朝日をはじめとするマスコミが、オリンピック前から中国の人権抑圧を報道し批判しています。オリンピック閉幕後はさらに加速し、中国でのオリンピック開催そのものの是非すら議論されると私は予想します。その際、我が党がとってきた中国への態度が厳しく問われることになってしまう。私はそう思います。

 

 もとより、国家転覆扇動罪」なるもので民主主義や人権を訴える活動家を弾圧する中国共産党と、弾圧の歴史を乗り越えた日本共産党が、「正常化」した関係を持つことじたいが民主主義者への重大な裏切りです。ましてや、党は「正常化」を優先し、人権抑圧に眼を閉じ、あろうことか中国当局の抗弁を赤旗で報じ、さらに志位委員長はわざわざ中国外相に会い、抑圧の事実に全く触れず、子供でも言えるような「対話による平和的解決を要請した」のです。これは、「これ以上は言いませんよ」といっているようなもので、実際その後は何も言っていません。 

 中央委員会の中国共産党への態度は、共産党員はおろか世界の民主主義活動家に対する重大な裏切り行為であります。
 また、真実を報道するはずの赤旗が、中国当局の言い分を無批判に掲載する姿は、正義感ある多くのジャーナリストを落胆させています。中国では、当局の報道規制を批判した記者が社を追われているのです。あろうことか、赤旗は規制されるべき立場でもないのに、自ら報道を規制し、人権抑圧には目を閉じ、当局の発表のみ掲載しているのです。いったい真のジャーナリズム精神はどこにいったのでしょうか。 

 以上、中国問題での意見を述べ、回答を求めます。 

日本共産党規約五条6項に基づき中央委員会に質問します。

 したがって、回答をいただくのは中央委員会のみです。県委員会等が変わって回答をすることはできないのでご承知おきください。 

 

徳島県阿北地区委員会

  地区委員  高木 純        回答は文書であることを強く望みます。

 

 

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