日本共産党中央委員会 委員長 志位和夫殿

 

中国共産党との理論交流についての批判

                            2010/10/13

                            徳島県 高木 純

 

 中国の民主活動家、劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞したことで、中国の人権抑圧体制に批判の国際世論が巻き起こっている。

 これまででも、中国と言えば“一党独裁”“言論抑圧”“反体制派”の弾圧等々で、たびたび国際社会で問題とされてきたが、今回の劉暁波氏へのノーベル平和賞は、人権抑圧を許さない国際世論の集大成的なものであり、もはや中国は反論すればするほど追い込まれる事態になっている。

 このような事態となって、日本共産党と中国共産党との関係を改めて見つめ直してみると、日本共産党のとってきた態度は、中国の人権抑圧体制に目を閉じて、結果として“容認”していると言わざるを得ない。よって、以下その理由を述べ党幹部団とりわけ不破哲三氏を批判する。

 

 中国での政治犯の弾圧や人権抑圧の事例は枚挙にいとまがない。しかし、それでも氷山の一角と言われ、明らかになった事例は中国政府の報道管制の範囲外である外国メディアが掴んだ情報のみで、“地方”には数え切れないほどの“人権抑圧”がある。

 そもそも、中国の人権抑圧は“法”によって行われているものであり、その法とは「国家政権転覆煽動罪」なる、まるで日本にあった「治安維持法」と瓜二つのものである。

 この「国家政権転覆煽動罪」によって投獄された中国の民主活動家は、

「拘置所で何日間もベットに手足を縛られたまま食事や排泄を強いられた」【朝日新聞(五輪の囚人)2008.4.8

また、四川大地震の校舎倒壊の真相究明活動をしていた民主的活動家が同じく「国家政権転覆煽動罪」で逮捕され懲役五年の刑となっているが、この背景は地方の公共事業請負において共産党幹部が汚職にまみれているからで、党の汚職による欠陥工事を隠蔽しなければ国家が危なくなるということから「国家政権転覆煽動罪」が適用されたと言われている。

国家政権転覆煽動罪は、戦前の日本の「治安維持法」のような役割を果たし、国家体制を守るために逮捕された日本共産党員が受けたような“拷問”を中国の民主活動家も血を流し受けているのである。

そして、中国は明らかに国家体制を守るために“人権抑圧”を行っているのであるが、かつて日本共産党がその解体を歓迎した、旧ソ連も「人権抑圧型の社会主義」と定義したのものであった。ゆえに中国も“解体”が実現すれば、日本共産党としては歓迎すべき対象となる国家である。

 

人権抑圧がまかりとおり、解体されれば“歓迎”すべき対象であるべき、中国の政権を担う一党独裁の中国共産党と、日本共産党は理論交流なるものを行っているが、これは日本共産党が、日本はおろか、世界中の民主主義を望む勢力や活動家を裏切る、中国共産党に対して卑屈な態度から成り立っている“交流”と言わざるを得ない。

そもそも中国を論ずるならば、国際社会では“人権”を抜きには論ずることはできないほどになっている。中国は著しい経済成長をとげているため、なおさら世界の常識からかけ離れた人権感覚が問題となってきており、それゆえに、ことあるごとに中国の人権抑圧が国際的問題となり、ついにはノーベル賞が民主化を“後押し”するに至ったのである。

その中国との理論交流において、日本共産党が「人権問題」を抜きにする態度は、どれだけ国際問題となっていようとも、「日本共産党は目をつぶります」と言っているのと同様である。

不破哲三氏は赤旗に掲載された「北京の五日間」で、中国首脳との意見交換の項目をあげている。中国側から提起され12項目になったことに有頂天になっているが、その内容は、【北京の五日間(1)より】

一、両党関係および両国関係について。

 二、国際情勢および地域情勢について。

 三、国際共産主義運動の現状と見通しについて。

 四、現代資本主義と経済のグローバル化について。

 五、日本の政治・経済情勢について。

 六、両国関係を発展させることについて。

 七、アメリカの国際戦略調整について。

 八、ソ連・東欧崩壊の教訓とその影響について。

 九、日本共産党の党建設の現状と経験について。

 一〇、社会主義の現状と見通しについて。

 一一、西ヨーロッパと日本の政治的右翼化について。

 一二、主要資本主義国における社会主義運動について。

 

であり、不破哲三氏は、

「これは、日本と中国、そして世界が当面している諸問題について、全般的な意見交換をしたい、という提案である。」

と、中国首脳にこれだけ幅広く意見交換を求められることを手放しで喜んでいるようである。

しかし、これだけ項目を議論する際に、中国の人権抑圧を抜きにしてまともな議論ができるのであろうか。

「国際共産主義運動の現状と見通しについて」これを語るなら、中国共産党の人権抑圧が世界の共産主義運動に壊滅的な打撃を与えていることは明白で、日本共産党の党員は同じ“共産党”を名乗る“中国共産党”のおかげで艱難辛苦を被っているのである。

「ソ連・東欧崩壊の教訓とその影響について」を語るなら、日本共産党は「人権抑圧型の社会主義の解体」を「双手を挙げて歓迎」したのである。 

そもそも、中国共産党と理論交流を行うならば、日本共産党からすれば、人権抑圧型の社会主義はもちろんのこと、いかなる体制であろうとも人権を侵害することは許されないという立場で望むべきである。

理論交流を始めた当時も、そして劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞した今日でも、世界の民主主義を志向する全ての勢力は、中国共産党に対して“人権抑圧は許されない”という立場である。にもかかわらず、日本共産党だけは十二項目もの意見交換を行うのに、その中に“人権”なるものを一切含めず、そのおかげでか、両党は嬉々として交流を深め、不破哲三氏に至っては、胡錦涛(こきんとう)国家副主席との出会いに歓喜し、その写真を自宅に飾って日々ご満悦のようすである。【北京の五日間(3)より】

しかしながら、その間もノーベル平和賞の劉暁波氏は獄中につながれ、中国の民主活動家は弾圧を受け続け、それでも尚、獄中で、地下で民主化のために戦っているのである。そして過去にはもとより現在も、命をも奪われる活動家がいるのである。 

劉暁波氏の妻である劉霞さんは、現在(10/11時点)中国政府によって自宅軟禁状態にされている。何の罪状もなしでこのようなことを行うのであるが、中国共産党の恐れていることは、劉暁波氏のノーベル平和賞の受賞を契機に民主化運動に“火”つくことを恐れているからと言われている。故に劉霞さんを軟禁状態にして、外部との接触を遮断しているのである。

「劉暁波氏は一本のマッチであっても、その回りには乾いた藁が積まれている」

これが現在の中国なのである。

中国共産党は“火”が点くことを防ごうとしているが、一方で中国財界筋は違った動きをしていると報道されている。中国財界人はしきりと劉暁波氏の妻の劉霞さんと“接触”を図ろうとしていたという。その意図は、劉暁波氏がいずれ南アフリカのマンデラ氏のような“指導者”になるのではないかと考え、その時のために“保険”として、劉暁波氏との“パイプ”を作っておきたいのである。

中国財界筋の「読み」が的中すれば、中国共産党に弾圧された民主勢力が中国の“政権”を担い、中国共産党は“圧政者”として裁かれるのである。胡錦涛副主席などは“圧政”の首謀者として裁かれでことになるが、不破哲三氏はそうなっても自宅に胡錦涛氏とにこやかに並ぶ“写真”を飾っておくのであろうか。 

民主活動家へのノーベル賞受賞を機に、中国の民主化への運動も高まると同時に、中国共産党も“弾圧”を強めることは間違いない。そうなれば国際的世論も中国への批判を強めることは必至である。

そんななか、日本共産党は“人権”に口を閉ざし、口を開いたとしても、チベット問題の時のように「平和的解決を要請」するだけの“アリバイ”的言及で済ますのであろうか。

戦前の我が党の同志が、熾烈な弾圧や拷問を受け命さえ奪われた「治安維持法」と、全く同等同質である中国の「国家政権転覆扇動罪」によって、中国の人権活動家が弾圧されるのである。しかしそれでも、不破哲三氏をはじめとする党幹部団は“交流”を優先し、“人権”には口を閉ざすのであろうか。さぞかし、昨年話題となった小林多喜二が見たならば憤りを越え、嘆き悲しむことであろう。 

党中央委員会は二中総において、参議院選挙の敗北等を総括している。同時に党勢の著しい後退も問題である。

日本共産党はこれまで、国民の間に一定の信頼が得られているものの、一票を投じる選択肢にはなっていない。結果として国政選挙で敗北が続いている。

その要因は様々あれど、根源的な要因は依然として「共産党政権になったら恐い」というものである。これは“反共”などというものではなく、すぐ隣の共産党が政権を持つ中国を見てのことである。なにしろ政府に逆らったら“投獄”されるのである。恐いと思うのは当然であり、中国共産党=日本の共産党と連想することは当然の成り行きである。

そのような状況下において、日本共産党は中国共産党の人権抑圧を批判する立場ではなく、むしろ“交流”を深め“仲”がいいのである。日中両共産党の蜜月をあまり知らない日本国民がこれを知ったら、ますます「共産党は恐い」と思うであろう。 

 日本共産党が中国にとるべき態度は、何よりもまず中国の人権抑圧を批判することである。“民主主義の全面的開花の上に社会主義は成り立つ”と高らかに批判することである。

批判することによって、「日本共産党が目指す社会は中国とは全く違う」ことをアピールし、中国共産党によって傷つけられた「共産党」という党名や、社会主義のイメージを守ることである。

 批判することによって“交流”が途絶えようと、日本国民はもとより、地域にいる日本共産党員には何の支障もない。むしろ、“目指すものは中国とは全く違う民主主義社会”であることが改めてハッキリされることに、それこそ“確信”を持つことになるであろう。

 “交流”が途絶え、中国共産党と“断絶”と言うことになれば、さぞかし不破氏は残念なことであろうが、自宅に飾ってある胡錦涛氏と仲睦まじく並ぶ写真を眺め我慢するか、我慢できなければ、不破氏のみが交流を深めるために、人権抑圧社会の中国に自ら身を置き“体験交流”でもなんでもしていただけばよいのである。そして、中国の人権抑圧がいかに酷いものであるか“科学の目”で見てくるといいと思うが、今まで見えていたかどうか分からぬ“科学の目”を眼科医に診察して頂くことをお勧めする。 

 党幹部団の中国共産党への態度は、現在はもとより過去に在籍した共産党員を裏切り、さらには世界の民主主義活動家に対する重大な背信行為であり許されるものではない。不破氏をはじめとする党幹部団は直ちに自己批判し中央委員を辞すべきである。
 さらに、これを容認した党中央委員の諸氏も痛烈に自己批判すべきである。 

以上、中国共産党との理論交流に関しての批判を意見として申し上げる。

 

回答を文書にて求める。 

 

徳島県党 阿北地区所属

                         高木 純    

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